手になじむ器、コロンと可愛らしい蓋物などの様々な形に、優しい飴、エキゾチックな鉄などの釉薬をかけ、スリップウェアや幾何学的から民族調などの文様を施し作り出す山根窯・石原幸二さんのやきもの。色、形と様々だが一本筋が通っていて、石原さんの手から生まれたものだとすぐわかります。個性的だけれども飽きがこず、生き生きとしていて健康的。使っている私たちの暮らしが楽しく、豊かになります。どうしたらこのようなやきものが生まれるのでしょうか？

 その答えは石原さんの暮らしぶりを見ればわかります。学生時代に民藝の巨匠濱田庄司に心奪われ、民藝の道に進みました。やきものだけでなく暮らしぶりにも感銘を受け、自分なりの理想の暮らしを思い描き、コツコツと作ってきました。窯元には石原さんが心うたれた日本はもとよりアジア、アフリカなど世界各国の民藝品が生き生きと並んでます。愛しいものに囲まれ、ものから力を得て、自らの手で作った登り窯で、本人曰く”自然に力を借りて”焼き上げます。じっくり温度を上げるため約２日間の窯焚きです。そうして生まれたやきものは１つ１つ表情が違い何とも愛おしいです。そしてもう一つやきものを作る上で活力となるものがあります。それは悦び手の存在。使って悦んでくれる声が何より嬉しいそうです。長い陶歴の中にはうまくいかない時期もありましたが悦び手の存在を励みにして続けることができました。そうして生まれた石原さんのやきものは作る悦びと民藝への愛が溢れ、自然とそれが伝わってくるのです。

 今年も鳥取たくみ工芸店で山根窯・石原幸二作陶展が始まります。毎年作り手、使い手の悦びに溢れています。こういった会を今年も開催できて伝え手として悦びを感じます。石原さんの大らかな人柄に、そしてその手から生まれた愛しいやきものの数々に触れていただければ幸いです。皆様のお越しをお待ちしております。

山根窯・石原幸二作陶展

会期：10月28日(金)〜11月7日(月)　水曜定休

時間：AM10:00からPM18:00

会場：鳥取たくみ工芸店2F

　　　〒680-0831 鳥取県鳥取市栄町651

　　　TEL：0857-26-2367

　　　MAIL:t.mingei@gmail.com

※終日在廊予定ですが、新型コロナウイルスの状況により変更または中止となる場合がございます。また、ギャラリーが混雑しそうな場合、お待ちいただくことがあります。

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