鳥取たくみ工芸店

2021/12/12 11:12


 物に想いや願いを込める。
古来より私たちは平穏な世の中や明るい未来を願い、自然や物に想いを込めてきた。

 鶴一羽。これは工房ゆみはまが得意とする弓浜絣の代表的な文様だ。大阪民藝館の絣展でもメインビジュアルに使われ、暖簾やテーブルセンター、手提げ袋など様々な用途で使われいる。鶴が明るい未来に向けて羽ばたく様が印象的な文様だ。この文様は県内のみならず全国で長年愛されており、今なお愛好者が多い。他にも丸熨斗や亀甲麻の葉などの縁起のいい文様の絣は、ハレの日を彩ってきた。
 その一方日常を支えてきたのが、幾何学模様の絣だ。仕事着として使われた絣はほつれたら直しを繰り返し、最後は雑巾やおしめとして使われいたので昔のものはあまり残っていない。ものこそ残っていないが幾何学模様の絣は現在でも脈々とつくられており、最近はコースターや財布などに形を変え私たちの暮らしを支えてくれている。

 愛されるためには見た目も大事だが使い心地の良さも不可欠だ。工房ゆみはまの絣は手間暇を惜しまない。それは弓浜地方の特産である伯州綿の素晴らしさを知ってほしいからだ。伯州綿は弾力性がありふんわりした肌触りになる魅力的な綿だ。しかし繊維が短く機械紡績には適していない。そのため工房では、糸作りを手紡ぎで行う。そして自分たちで藍を建てて糸を染め、織り機で織ってゆく。手間暇かけることで使い心地がよく想いのこもった絣ができるのだ。

 ハレの日も日常も私たちの暮らしに寄り添ってくれる工房ゆみはまの絣。
コロナ禍になって早2年。暮らしの大切さを感じる毎日です。
平穏な世の中や明るい未来を願い、想いのこもった絣を暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。